9月27日(日)、札幌市生涯学習センター「ちえりあ」の大研修室にて、一般社団法人国際シーティング自立支援協会(ISAII)主催のシーティングセミナーとシーティング実践体験会を開催しました。札幌市での開催は4年ぶりとなりました。当日は、障害児者とそのご家族、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、教師、障害者団体関係者、車椅子業者など、計50名の皆様にご参加いただきました。
■ 午前:シーティングセミナー(10:00~12:00)
今回のセミナーでは、障害児者の多くが悩んでいる身体の変形や褥瘡(床ずれ)などの二次障害を予防し、悪化を防ぐとともに、身体に残された機能を最大限に発揮するための「国際標準のシーティング」について、デモンストレーションを交えながら講演しました。
日本では、避けられないと思われがちな障害児者に生じる身体の変形や二次障害は、適切なシーティングで姿勢を改善することで、予防・軽減すると共に、身体機能や活動性を向上できることについてお話ししました。
セミナーでは、世界中で活用されている国際標準のシーティングの理論と技術をもとに、姿勢の土台となる骨盤の後傾や左右への傾きが引き起こす問題とその改善方法、快適で安定した姿勢保持、ラテラルサポートの適切な設定方法などを具体的に解説しました。さらに、シーティングによる姿勢改善が、呼吸や発声、上肢の活動、車椅子操作などの機能性向上につながること、そしてQOL(生活の質)の向上、自立支援、介護負担の軽減にもつながることを、実際の症例やデモンストレーションを通じて紹介しました。
障害児者ご本人やご家族には、日常生活で抱えている姿勢や車椅子の問題を改善するための知識を、医療・リハビリ関係者には国際標準のシーティング理論と技術を、また福祉・支援関係者にはシーティングの重要性と地域での普及・活用について理解を深めていただく機会となりました。参加者の皆様は終始熱心に耳を傾けてくださり、国際標準のシーティングの考え方や、その必要性について多くの理解と賛同をいただくことができました。
また、昼食休憩の後半には、希望者を対象に車椅子使用者の褥瘡予防についてランチョンセミナーを開催。とても好評でした。
- シーティングセミナー
- シーティングセミナー
- シーティングセミナー
- シーティングセミナー
- 使用した車椅子
- 使用した車椅子とシーティング製品
- シーティングセミナー
- シーティングセミナー
- シーティングセミナー
- シーティングセミナー
- シーティングセミナー
- シーティングセミナー
- シーティングセミナー
- シーティングセミナー
- デモンストレーション体験
- デモンストレーション体験
■ 午後:シーティング実践体験会(13:00~15:00)
最初に、国際標準のシーティングについて追加講義を行い、股関節屈曲制限への対応、モールドシーティング、ポジショニングベルト、筋緊張への対応、動的シーティングなどについて解説しました。
続いて、体験希望の2名の方にご協力いただき、姿勢・身体機能・車椅子・姿勢保持の評価から、車椅子やシーティング製品の選定・設定・調整、姿勢改善までの過程を実際にご覧いただきました。地元のセラピストの皆様にも実践的に参加していただき、評価方法や設定・調整の技術を学んでいただきました。
【症例1:脳性麻痺の女性】
車椅子上では、身体が前方へずり落ちそうな姿勢、背中の痛み、円背傾向、左への傾き、強い筋緊張など、多くの問題を抱えていました。特に呼吸と発声のしにくさを訴えていました。
車椅子上での姿勢評価に続き、当協会理事の伊藤亮子PTとともにマットテーブルで身体の状態を評価したところ、両股関節の屈曲制限が姿勢の崩れと多くの問題につながっていることが分かりました。そこで、股関節の可動域に対応できるようにクッションを調整し、さらにバックサポートの位置や角度を調整。胸郭を開き、無理なく安定して座れる姿勢を目指しました。
その結果、前方へのずり落ちが軽減し、姿勢が大きく改善しました。ご本人からは、「楽に話せる! 呼吸が楽! 車いすを操作しやすい!」と、とても嬉しい感想をいただきました。😊
- シーティング実践体験会
- シーティング実践体験会
- シーティング実践体験会
- 体験者の女性からヒアリング
- マット評価
- マット評価
- マット評価
- クッション調整
- 車椅子設定
- 新しい設定で試乗
- バックサポート調整
- 快適な姿勢に
- 快適な姿勢に
- バックサポートも最終調整
- 笑顔に
【症例2:重度四肢麻痺・医療的ケア児の女の子】
普段使用しているバギーでは、仰向けに寝ているような姿勢で、顔も横を向いたままになっていました。お母さんは、この姿勢以外は取れないと仰っていました。
今回のシーティングでは、快適に車椅子で過ごせる時間を延ばすことに加え、前を向くことが難しい、姿勢が崩れる、身体が回旋する、足台から足が落ちるといった問題の改善、そして仙骨部の褥瘡予防を目標としました。
車椅子上とマットテーブルで評価したところ、この方にも両股関節の屈曲制限があり、姿勢が崩れる要因となっていることが分かりました。また、低緊張と伺っていましたが、評価中には強い筋緊張が現れることも確認できました。
身体の状態に合わせてクッションとバックサポートをティルト型車椅子に設定し、さらにポジショニングベルトやヘッドサポートを選定・調整しました。その結果、これまでよりも大きく上体を起こし、正面を向いた安定した姿勢で座ることができました!さらに、自分の意思で頭や上肢を動かす様子も見られ、満面の笑顔に!😊
お母様にも大変喜んでいただき、見学していた参加者の皆様も、その大きな変化に驚き、会場は笑顔に包まれました。
- シーティング実践体験会
- シーティング実践体験会
- 2人目の体験者
- 現在の姿勢
- 現在の姿勢
- 現在の姿勢
- マット評価
- マット評価
- マット評価
- 体に合わせた車椅子に試乗
- 体に合わせた車椅子に試乗
- かなり上体を起こせた
- かなり上体を起こせた
- 安定性が向上
- 快適な姿勢に
- 快適な姿勢に
- 笑顔がこぼれた
- 笑顔がこぼれた
- 笑顔がこぼれた
- 笑顔がこぼれた
- 笑顔がこぼれた
■ 国際標準のシーティングを地域へ
今回のセミナーと実践体験会を通じて、適切なシーティングは単に座る姿勢を整えるだけでなく、二次障害の予防や悪化防止、身体機能の向上、QOLの向上、自立支援、そして介護負担の軽減にもつながる重要な支援技術であることを伝えることができました。
午前の講演で国際標準のシーティングの理論とその重要性を学び、午後の実践体験会では、改善が難しいと思われていた姿勢の問題でも、適切な評価と設定・調整によって大きく改善できる可能性があることを、実際に見て、体験していただきました。
今回の開催をきっかけに、国際標準のシーティングへの理解が広がり、実際に取り組む方、そして地域で適切なシーティングを提供できる専門職の方々が増えていくことを願っています。当協会も、今後も各地域の皆様と協力しながら、シーティングの普及と実践を支援してまいります。
■ ご協力いただいた皆様へ
今回の開催にあたり、アイライン会長の小山内様と理学療法士のご主人、長年シーティングに取り組んでこられた有限会社ふくもりの福森様とスタッフの皆様、北海道医療的ケア児者家族の会の山本様をはじめ、多くの皆様に多大なるご協力をいただきました。
また、実践体験会にご協力くださったお二人とご家族、熱心に参加してくださった皆様にも心より感謝申し上げます。皆様のご協力により、シーティングの可能性を実際に見て、学び、体験していただける貴重な機会となりました。本当にありがとうございました!
本事業は、日本財団の支援を受けて実施しています。
一般社団法人 国際シーティング自立支援協会(ISAI)
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